散骨について許可などを定めた国の法律はありません。一方で、自治体のなかには、条例で散骨を禁止したり、届け出を求めたり、散骨場の経営を許可制にしたりしているところがあります。
この記事では、一般財団法人地方自治研究機構がまとめている「散骨規制条例一覧」(2026年4月1日更新)をもとに、散骨を制限している自治体をご紹介します。特に、山や陸地での散骨を考えている方は、事前にご確認ください。
先に知っておきたいこと
- 散骨について、国の法律に許可などの規定はありません。長野市は「散骨には法令上、許可等の規定はありません」と案内しています。
- ただし、自治体によっては条例で散骨を制限している場合があります。長野市も、自治体によっては条例等で散骨の制限をしている場合があるとして、散骨する市区町村へ事前に確認するよう呼びかけています。
- 厚生労働省の「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」では、陸上での散骨は「あらかじめ特定した区域(河川及び湖沼を除く。)」で行うこととされています。また、地域住民、周辺の土地所有者、漁業者などの利益や宗教感情を害することのないよう、十分に配慮することとされています。
以下の一覧は、地方自治研究機構の一覧に載っている自治体です。この一覧にない自治体でも、別の条例やルールがある可能性があります。散骨してよいかどうかの判断は、その土地の自治体に確認してください。
散骨を禁止している自治体
| 自治体 | 条例名 | 施行日 |
|---|---|---|
| 北海道長沼町 | 長沼町さわやか環境づくり条例 | 平成17年5月1日 |
| 宮城県松島町 | 松島町環境美化の促進に関する条例 | 平成22年5月28日 |
| 熊本県南阿蘇村 | 南阿蘇村環境美化条例 | 令和2年4月1日 |
届け出が必要な自治体
散骨を原則として禁止し、届け出や申請の承認があれば認めるとしている自治体です。
| 自治体 | 条例名 | 規制の内容 | 施行日 |
|---|---|---|---|
| 北海道岩見沢市 | 岩見沢市における散骨の適正化に関する条例 | 散骨の原則禁止(届出で可)、散骨場の許可制 | 平成19年9月18日 |
| 埼玉県秩父市 | 秩父市環境保全条例 | 散骨の原則禁止(届出で可) | 平成20年12月18日 |
| 鹿児島県伊佐市 | 伊佐市環境保全及び美化推進条例 | 散骨の原則禁止(申請の承認で可) | 令和2年3月23日 |
散骨場を許可制にしている自治体
散骨を行う場所(散骨場)を経営するには、自治体の許可が必要としている自治体です。個人が散骨することへの扱いは、それぞれの条例によって異なります。
| 自治体 | 条例名 | 施行日 |
|---|---|---|
| 長野県諏訪市 | 諏訪市墓地等の経営の許可等に関する条例 | 平成18年4月1日 |
| 静岡県御殿場市 | 御殿場市散骨場の経営の許可等に関する条例 | 平成21年4月1日 |
| 埼玉県本庄市 | 本庄市散骨場の設置等の適正化に関する条例 | 平成22年4月1日 |
| 神奈川県湯河原町 | 湯河原町散骨場の経営の許可等に関する条例 | 平成26年7月31日 |
| 静岡県熱海市 | 熱海市散骨場の経営の許可等に関する条例 | 平成27年6月29日 |
| 神奈川県箱根町 | 箱根町散骨場の経営の許可等に関する条例 | 平成27年9月28日 |
| 静岡県伊東市 | 伊東市散骨場等の経営の許可等に関する条例 | 平成27年12月15日 |
| 静岡県三島市 | 三島市散骨場の経営等の許可等に関する条例 | 平成30年4月1日 |
| 愛媛県愛南町 | 愛南町散骨事業等の適正化に関する条例 | 平成30年4月1日 |
| 神奈川県三浦市 | 三浦市散骨場の経営等の許可等に関する条例 | 令和7年1月27日 |
(出典:一般財団法人地方自治研究機構「散骨規制条例一覧」2026年4月1日更新。条例の正確な内容は、各自治体の例規集でご確認ください)
海での散骨の場合
海での散骨についても、守るべき目安があります。厚生労働省のガイドラインでは、海洋での散骨は「海岸から一定の距離以上離れた海域」で行うこととされています。業界団体の日本海洋散骨協会のガイドラインでは、人が立ち入ることができる陸地から1海里(約1.85km)以上離れた海の上だけで行うこととし、川や湖、海岸・浜辺・防波堤やその近くでの散骨を禁止しています。
海辺の自治体のなかにも、上の一覧のように散骨場を許可制にしているところがあります。海での散骨を業者に頼む場合は、どの海で、陸からどのくらい離れた場所で行うのかを確認しておきましょう。
自治体へ確認するときのポイント
山や陸地、海辺の近くなどで散骨を考えている場合は、散骨する場所の自治体に、次のような点を確認すると話がスムーズです。
- 散骨したい場所:市区町村名だけでなく、できるだけ具体的な場所を伝えます。
- 散骨の方法:粉骨したご遺骨をまくのか、どのくらいの量か。
- 条例やルールの有無:散骨を制限する条例や、届け出の必要があるか。
- 担当の窓口:環境、衛生、墓地などの担当課が窓口になることがあります。分からない場合は、代表の窓口で「散骨について相談したい」と伝えてみてください。
また、陸地で散骨する場合は、その土地の所有者の了解が必要になることも考えられます。他人の土地や、周りに住む人がいる場所での散骨は、思わぬ行き違いのもとになります。三重県伊勢市は市民からの質問への回答(2019年)で、散骨は節度を持って行われれば罪にはあたらないとされている一方、「方法を誤れば損害賠償の対象となり得る」と説明しています。
散骨してよいかどうかの個別の判断は、自治体や専門家にご相談ください。
まとめ
- 地方自治研究機構の一覧(2026年4月1日更新)では、散骨を禁止している自治体が3、原則禁止で届け出などが必要な自治体が3、散骨場を許可制にしている自治体が11ありました(岩見沢市は届け出と許可制の両方)。
- 一覧にない自治体でも、別のルールがある可能性があります。散骨する場所の自治体に事前に確認してください。
- 業者に頼む海洋散骨でも、散骨する海と陸からの距離を確認しておくと安心です。
比較ページのご案内
- 委託散骨(郵送OK)の比較:散骨する海域で絞り込み
- 粉骨の比較
- 料金相場
- 墓じまいの流れ
出典(2026年10月18日閲覧)
- 一般財団法人地方自治研究機構「散骨規制条例一覧」(2026年4月1日更新):https://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/127_sankotsu.htm
- 厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」:https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001321304.pdf
- 一般社団法人日本海洋散骨協会「ガイドライン」:https://kaiyousou.or.jp/guideline.html
- 長野市「改葬許可申請」(Q5):https://www.city.nagano.nagano.jp/n085500/contents/p006254.html
- 伊勢市「市民の声」(2019年10月回答):https://www.city.ise.mie.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/524/shiminnokoe1021-1025.pdf